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【感想】史文倉 唐橋史さん著「出雲残照」「さんた・るちやによる十三秒間の福音」

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サークル:史文倉
http://f-fumikura.jugem.jp/
著者:唐橋史さま
@FuhitoFumikura

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『出雲残照』
本の杜4で入手しました本です。
話題になっておりましたので、欲しい、読みたいと思って購入したのでした。

真乃は、ええ、はい、歴史とかそんなに得意ではないです。
1番好きでも平安、源平合戦のあたり。でも、人物の名前とかあんまし覚えてない。
教科書で習った程度まで。もしくは、ロマンスゲーム「遥かなる時空の中で3」で出てきた人物まで。

……日本神話もちょこっとだけ。
古事記なんて読んだこともない。


中学生の時に『空色勾玉』を読んで以来のこの時代ものでした。(…同じじゃないかも)
しかも、全然覚えてない。
続編も読んでません……

とゆうか、時代小説を他に読んだ記憶がない……


私は、この小説を読むことがはたしてできるのだろうかと思いました。
頭が悪いと、本当にこういうところで躓いてしまうのです。


ですが、杞憂でありました。
一人称でも丁寧な文体で、とても読みやすかったです。


主人公の空回している様が切なく、
私なら死んでいるなって思いました。

主人公を苦しめる者にもある苦しみがまた切なく、誰を責めることもできなくて、
だから主人公は救われるし、宙ぶらりんになってしまう。

この主人公は、いったい、何のために倭の国へきたのか。
苦しみながら生きている姿を見るたびに、思いました。

最後の方で主人公はそのことに気がつくのだけど、
遅いよ、遅い。


しかし、ひととは、いつの時代でも誰かが恋しくて、欲しいものがあって、
分かっているのに、同じ過ちを繰り返すのだと、
そう思ったのでした。

崇拝しうるひとが、憧れのひとが目の前にいたのなら、
忘れるというものなのだろうと。
いや、近くにいるというのに、そこから去ることなど、できるはずもない。


明るいお話ではないです。
当たり前だけれど、興りがあって滅びがある。
歴史はその繰り返しであること。
それが、どんな統治者によるものだろうとも。

それが、歴史小説の魅力なのかなあと思ったのでありました。
歴史小説を読んだことのないひとにもお薦めできる本であります。


Stray Cat 三日月理音さんのレビューもご参考にして下さいませ
http://text-revolutions.com/review/?p=759#more-759


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『さんた・るちやによる十三秒間の福音』
創作文芸見本誌会場Happy Reading
Amazon


文学フリマで買い逃したので、密林で買いました。
3編が収録されているうちの、表題作の感想であります。

私もファンタジー小説の中で扱うのは、アブラハムの宗教なのですが、
宗教よりではなくて、やはり歴史よりのお話。

タイトルから私が勝手に想像したものとは、まったく違いました。
想像していたものを期待していたのですが、まあ、そりゃそうですよねって……

リアルな描写の前に、私は思わず顔をしかめてしまって、
これは小説なのだと、そう改めて認識しないと読めなかったかもしれません。

主人公にとても好感がもてて、かっこよくて、この主人公で時代劇の連続ドラマいけんるんじゃね?って思いました。すてき。


さて、中身のこと。
そう、私はアブラハムの宗教が好きで、でも、常に疑問に思っているのが、
楽園なんてものがあるのか、ということ。

ひとはなぜ、死してから極楽浄土や楽園へ行きたいと思うのでしょう。
なぜ、極楽浄土や楽園が本当にあると、信じることができるのでしょう。
自分が本当に、極楽浄土や楽園へ、祈っていれば行けると、信じることができるのでしょうか。

これを読んだ時、私は「これは違う」と思ったんです。
いや、その時にあった歴史を否定しているのではなく、もちろん、このお話を否定しているのでもなくですね、
私は完全に、その刑場で見ている人間のひとりになっておりました。

そうだと気がついた時に、鳥肌が立ちました。
こんな感覚、初めてでした。恐ろしい夢の中にいるようで。


これは違う、と思ったのはですね、
宗教の話ですが……本の感想とは離れるのですが……これは、真乃のメモ的なものですが……

多分に私の性格ゆえなのですが、
もし、私がキリシタンで、囚人としてその場で殺されるのを待っている人間だったとしたら、もうね、最初っから「転びます!捨てますぅ!」って言ってます。そういう、忍耐の足りない人間ですからね、あの、そんなぬるい人間だから考えつくことなんですけれども……

我慢して耐え抜いたら楽園へ行ける?
ということに対して「違う」と思ったのです。

憐れなひとは楽園へ行ける。
それは、そう。そうだと思う。

憐れってなんだろう。
そうやって死んだら憐れなのか。
違うだろうなって思ったです。

新興宗教にハマる人間っていうのは、
自分で考えられない、他人に生き方を委ねてしまうような、楽をしようとする人間なのではないかと思うのですよ。
そんな人間が楽園に行けるわけ、ないよねって思ったのです。

るちやの福音は、まさしくこのことなのか。
そうでないのか……

この本は、私にとって大きなものをくれました。まさに福音ですね。
短いお話なのに、もうね、雷が落ちましたですよ。ピシャーって。

いやはや……
別に宗教とか知らなくても、その場にいるような感覚を味わえる秀作でございますので、ご安心を。

ああ、でも、ちょっとホラーでした……
まだお読みになっていない方は、心して下さいまし。



Stray Cat みすてーさんのレビューもご参考に
http://text-revolutions.com/review/?p=689


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