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【感想】志々真 実子 著『ハロー、クリプ』新装版

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第16回文学フリマにておとなりになった、サークル「空澪」の 志々真 実子さんの本。
文庫サイズで、あの文芸社にて発行されている。
定価630円(税込)であるところ、無料で配布されていたのでした。

なので、持っている方も多いのではないかと。

お隣でどんどん貰われていく、その本。
気がついたら、帰り支度をしていて……というか、もう本当にお帰りになられるところだったのですが……

待って、私も欲しい!
と思ってお声を掛けたのでした。

そうしましたら、
以前、箱から出すのをめんどがって「すみません、次回に」と断った真乃とは違って、お優しい方で、なんと、見本誌置き場から持ってきてくれたのでした。
申し訳ないです。


後になって調べましたら、アマゾンで購入できました……
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しかもですよ。
翌々日の火曜日にはなんと、うちの新刊を押しつけたのですが、その感想がメールで送られてきたのです!!

というか、押し付けた本以外にもうちの本を買っていらして、その感想も 。

もう、感動で、泣きそうでした。


と。そんな自慢話は置いといて。
本題の感想です。


現代ものでも、ファンタジーな感じでしょうか。


最初は謎というか、疑問がぽこぽこ出てくるのですが、読んでいくうちに、ああ、そういうことか、と分かってきます。

ちょっと説明不足な点もありますが、重要ではないので、考えなくて大丈夫です。


帯の文句が、ちょっとぎょっとするのですが……
どんな、殺伐とした世界なんだろうか、と。

読んでみれば、優しい文体に裏切られます。
というか、表紙の可愛らしさ、そのものです。

ですが、やはり、話はちょっと暗いです。

主人公の少年が母親にぶたれるシーンや、
その母の精神状態、
近所の悪ガキにいじめられてしまうシーンなんかはもう、
胃が痛いです。切ないです。
(そういうのに真乃は弱いのです……)
でも、やはり、そういうシーンが書けることがすごいと、真乃は思うんですよね。
(真乃はね、書けないんです……書いても、ビミョーな出来になるんです)


ところどころに聖句がはさまれていて、
考えさせられる起因になっています。

アブラハムの宗教に興味がないひとにとっては、はあ、っていう感じかもしれませんけれど。

自分なんかは勉強になりました。
(中途半端にしか勉強していない真乃です)


話は、主人公視点と、主人公の母を探すように母の父から依頼された調査員の場面といったりきたりします。
そうして、話は進んでいくのですが、
主人公の子供の場面と、大人の場面に差があるので、
(それは仕方のないことなのですが)なんといいますか、
空気ががらりと変わります。
こういう書分けがすごいと思いました。


主人公キリトは母を殺すか、主人公と一心同体であるクリプを殺すかを迫られるのですが、
どっちを選ぶのか、その時まで分からなかった。
そして、真乃の考えていたものとは違う選択を、主人公は選んで、真乃を裏切ってくれました。
読者を良い意味で裏切る物語をつくるひとを尊敬します。


そうだなあ。
ミステリーっぽさの中にファンタジーがあるから、
それが、融合しているのが、とても不思議な感じでした。

真乃とは、縁遠い物語のように思う。
テーマは、なんだろうか。
そうやって考えると、読んでいる途中ではちょっと分かりにくい。


ただ、聖句をひろっていくと、よく分かる。

最後に書かれている聖句が1番のテーマだと。
なるほど、と思う。

だから、また読み返したくなる。



主人公の見る、銀河鉄道の夢のシーンは、本当に宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んでいるようで、美しくて、面白かった。
私は、この本の中でこのところが1番好きでした。
1番、脳内に鮮明に映像化することができた。


最後は、結局母とどうなってしまうのか書かれていなくて。
ただ、そのテーマの部分があれば、どうなるかという答えは見えているようなものでしょう。


テーマは読んでからのお楽しみということで。


そうだなあ。
ちょっと、さびしい思いをしているひとにおすすめする。

そして、自分の近くに何があるのかを、よく見回してもらいたい。

そんなお話だと、思いました。

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