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【感想】キリチヒロさん著(@hydra / blue)ブルー三部作『はばたく魚と海の果て』

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改めて、感想を書いてみる。
ブルー三部作の三作目を読んで、イメージが変わった、かもしれない。

ネタばれするので、まだ読んでいないひとは、なるべく読まない方が良いかなと。

もっとも、この感想は、Twitterで拡散はしないでおく。
ので、そんなに目につくことはないかなと。


ちょっと失敗したなって思ったのは、あまぶんの推薦文を書くために、ちょっと、そのため用の読み方をしてしまった。
もったいなかった。申し訳なかった。
40Pくらいまでは、なにも考えずに読んで、さっそく電車の中で号泣しそうになってしまった私だけれども。
その後は、そういう頭で読んでしまった、3作目。
それでも、涙せずにはいられないシーンがあった。

3作目、もう終わるというところで、ああ、これは自伝だと気がついた。
あとがきを読んだらそのように書いてあって、得た確信は間違いではなかった。

もっとも、自伝だと気がついたのは、キリチヒロさんのTwitterを図らずも追っていたせいかもしれない。

著者の不安定さが表れている。
なによりも、著者のP.N.が主人公と同じ「ちひろ」であること。

もっとも、この物語の主人公は「陸」の方ではないかとも思ったけれど。

陸が智尋にあたるシーンがある。それも2回ほど。
智尋が昴にあたるシーンもある。
親が子供に向かって言う言葉にも、ある。

お前に何が分かる

もはや、この物語のテーマがそれなのではないかとすら思えた。
各々が様々なものを抱えて、分かって欲しいと思うのだけど、
そう、きっとすべてを分かろうとするのは無理で、
いや、分かった気になるだけだと、そうつきつけられる。

何が分かるのかと、という言葉は問いではない。
拒絶に近い。
自分の心の深いところまで、見えるはずがないだろうという、当たり前のことを言う拒絶であり、理解してほしいという言葉ではない。
けれども、分かって欲しい。
分かって欲しいというのは、欲しい言葉があるんだ、それを言って欲しい、という意味だ。

分かるか、んなこと。
ってつっこみたい。

BLはおまけにすぎない。
いや、もちろん、大切なことでもある。
陸は誰にでもなく智尋だけに「好きだ」と言う。
それは、必要な言葉で、その言葉を言うことで、智尋をつなぎとめる。
そうすることで、孤独から逃れられる。
陸には智尋が必要だった。

もっとも、らぶらぶには程遠い。
え、これまだつきあってるの? って疑問に思うくらい。

知ってたけど。
実は『夏火』の後に『hydra/summer』を読んでいる。
コピー本である。
金沢で一緒に買ったもの。
(つまり全買いしてるんですけれども)
これを読むと、智尋と陸がなんかもう疎遠っぽい……
いや、ほんとはらぶらぶなんだけど、お互い忙しいみたいな感じだと嬉しいんですけれども……

『ミニチュアガーデン・イン・ブルー』から読み返してみる。『夏火』と共に、目を通すのは3回目となる。

ちょっとどころではなく、私はにぶいので、
1作目が高校1年、2作目が高校2年、3作目が高校3年、という構成になっていることに、3作目を読んで気がついたりした。

1作目で拾った単語は、
りんごジュース、敵、ピアス、煙草、好き というもの。
ほとんどが、陸に関するものかな。

1番は犬のアレックスなんだと思う。
最初から、最後まで、アレックスの老衰がこの物語を引っ張っていく。

出会いと別れと再会が描かれている。
こうやって並べてしまうと大層なテーマに思えるかもしれない。
1作目から、こんなテーマ、まじかって思う。
(もちろん、違うかもしれない)

けれども、2作目を読めば、この1作目のテーマのなんて軽いことかと思ってします。

『夏火』で拾った単語、じゃなくて言葉かなは
僕の内緒の「恋人」
ピアスに触れられることの優越感。だけど、そのピアスの意味は?
先生
生きるのか
別れても愛してる。
早苗が死んだ海

でした。
重い。
『夏火』から出てくる昴の存在は、正直、智尋じゃないですけど、邪魔だった。
同じこと思った。こいつさえいなければって。
あとで智尋も言っているけれど、陸には必要だった。
そうだな。智尋がいなくても、大丈夫になるには必要だった。
智尋は椎名にも昴にもあっさりと、陸とつき合ってる、つき合ってたと言えてしまう、なんかすごい子なんだけれども、
陸は違った。
どっちの感覚がおかしいのかと言えば、智尋の方じゃないかなって思う。

このふたり、別れてもお互い好きあっていて『夏火』の最後には仲直りしてたりする。
それでも、たぶん、陸の方には覚悟なんてもんは少しもない。
それどころでもない。
智尋の方は、もう綺麗な陸に恋しちゃってるので、約束云々よりも、振り回されてる感がある。

1番、つらかったのが、たぶん『夏火』じゃないかなって思った。
らぶらぶではなかったけれど、1番BLだった。

『はばたく魚と海の果て』で拾った言葉は、
受験。
椎名の悩み。
そんなこともできなくなってしまった。
好きというだけ。
望むものをお互い持っていないということ。
早苗
死と生


こんな感じかな。
1番起伏がなかったかもしれない。
この三部作、起承転結で例えるなら、
2作目に承転があって、3作目はすべて結という感じ。

テーマ、重いんですけれど、そうだな、下手な作家が書いたら、陳腐なものになっているだろうなっていうテーマ。
あっさりかな、あっさりではないかもしれないけれど、
アレックスの死と(犬と一緒ですまんな)似ている。

もう何回か読み込んでみたいところ。

最後は綺麗に終わる。

この物語で早苗という美少女はすでに死んでいて、ひとではないのだけれど、最後のほうで、人間だったってことを聞かされる。
早苗にそっくりで綺麗な陸もまた、振り返ってみれば、誰よりも人間くさい。

最後、私には彼の笑顔が見えた気がした。
もしかしたら、この時が、陸が人間になった瞬間だったのかもしれない。
あと、陸が「生きていく」と決めた瞬間でもあった。


自伝かもしれないなと思ったのは、
うーん、なんだろうな。最初に書いたテーマのせいかもしれない。
結局、なんだよこいつら、青春しやがって、みせつけやがってってことで。
つらかったかもしんないけど、これって自慢じゃね?って思ったんです。
ちょっと、言葉悪いですけど。

あんまり、物語で自慢ってしないですよね。
いや、私のひがみ根性のせいだとは思うんですけれども。
私が悪い。
なんだろうな、高校生活って、私ですら半分はいいことなんてなかったって思うんですけれど、語りたくなるくらいにはたくさんのものが詰まってるんですよね。


椎名には、この3部作、救われたなあって思います。
椎名にも奈津美さんっていう、早苗さんを恨んでると言ってもいい母がいて、その奈津美さんの言う通りにならない椎名は椎名で悩んでいるんですけれど、本当に、この子の明るさには救われた。私が救われた。カレーの福神漬け。(例えが最悪)

陸は、実はめっちゃイラっとするキャラクターなんですけれども(笑)
とても魅力的なキャラクターなんですよね。
私も、持ってますよ。こんなキャラクター。
イケメンで頭良くて、金もってるの。そして、そんな良いところ全部なかったことにさせる重いものを持ってる。
性格は全然違いますけど。いや、似てるかな。八つ当たりマンなところは。
椎名とよい兄弟で、微笑ましい。智尋とよりも椎名との方が気が合いそう。まあ、ベクトルが違うけれど。

智尋は、まあ、主人公らしからぬ、腹黒さよ。
陸のためならなんでもしちゃうぞこの子みたいな。
陸にいいようにされて、何度も泣くし、陸の欲しいものを自分が持っていないと分かった時、陸が自分の欲しいものを持っていないと分かった時それを望まずに引いてしまう。
なにこの、悟った娼婦みたいなの。
すごく好き。可愛いなあって、思いましたよ。いやほんと、先のこと考えると、この子が1番つらいって思う。
思うんですけど、この子、大企業に就職してます……
リア充じゃないか! 
私が心配するまでもなく、幸せな道を歩いてるんじゃないかなって思います。

そうゆう意味ではハピエンじゃないかなあ。
ハピエンにこだわって、キリチヒロさんには、思ってるのとは違うかもしれませんけれど、なんて言わせてしまって、気を遣わせてしまいましたけれど、
そうですね、このお話、本当にそんな軽い話じゃなかったなって。
ちょっと、私が、物語の全体が2作目読んだくらいでは見えてなかった。
そんな、高校卒業したくらいで、エンドなんてこと、ないんですよね。

そんなお話で、つまり、また私は、キリチヒロさんに重いであろう言葉を投げてしまうのですけれど、
ふたりの大学生活のお話が読みたいです!!

もういっそ、その後でもいいし、
はっきり言って、お互い欲しいもん持っていなかろうが、
もう一緒に住めばいいじゃん!って思いましたよ。
陸には新しい友人がいっぱいできて、智尋はまた昴んときみたいに、嫉妬して、なんて妄想します。

良いお話をありがとうございました。
キリチヒロさんには、ゆっくりお休み頂いて、また、こんな素敵な物語を読ませて頂けたら、嬉しいなあって思います。

あまぶんの推薦文も投稿しました。
もうちょっとトーンは落ち着いてますが、抽象的ではありますが、ネタバレしないで真面目に書くとこんな感じかなって。
もし、この記事を読んで、気になりましたら、チェックしてみてください。
反映まで、時間がかかるかもしれませんけれど。

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