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『緑ちゃんの話』@朝顔日誌 感想と文体について語る

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『緑ちゃんの話』@朝顔日誌

この本は表紙がモノクロなんだけど、とても綺麗。
だから買った。
タイトルを見て、なんか優しそうな話だなと勝手に想像したのもある。

合同誌と言って差し支えないだろう。
「緑」が主人公の2編の短編小説が読める。
たぶん、別々の「緑」なんだと思うけれど。
こういうのは珍しいんじゃないかな。
主人公の名前が「緑」っていうだけで、テーマとかはそれぞれ違う。
つまり、主人公の名前、別に「緑」じゃなくてもいいんじゃない? ってこと。

……言ってはいけなかったかしら……


「緑ちゃんの話「evermore.」」著者:半田

「その海はー」から物語が始まる。

……「その」はどこにもかかっていない。
ので、ちょっと、最初から「ん?」って思う。
でも、まあ、冒頭はよいよ。

冒頭は一人称。次は三人称の「緑」視点。
次は緑の一人称。
だけど、ちょっと読まないと、緑の一人称だとは分からない。
そして、冒頭に出てくる人物はまだ謎のまま。
で、誰やねん!ってつっこみたくなる。
ちょっと読めば、分かるのに。
短気なひとにはお薦めできない本かもしれない……

三人称の視点もぶれている。

だけど、やはり、とても優しい物語だった。
感動という言葉は使えないけれど、とても安らいだ。
そして、もっと深いところまで知りたい。読みたい。
そう思った。

そして、文体がとても好き。なかなか、優しい文体の小説に出会えないので、とても嬉しい。
色々書いたけれど、次も買いたいと思う。
それくらい、好き。
表現は少しわざとらしさを感じるけれど、言葉がとにかく優しい。
技術なんてたいした問題じゃない。
物語と、読める文体。私にとっては、それが1番と2番。


三人称は難しいよなー……
偉そうなこと書いてるけど、三人称の視点がぶれてるのは、おれも同じ……


「みどりちゃんのふしあわせ」著者:平野麻依

言葉まわしって言うのかな、かなり独特。面白い文体だと思う。ちょっと読みにくいけれど。

一文が長いので、あたまの悪い私は理解するのに時間がかかる。んん。
ずっと長い。息つく瞬間は段落が変わった時のみ。

でも、そう。
その過剰なまでの文章が、まさしくこの物語の「緑」を表していると言っていい。

うん、そう、ただ、それが会話になったとしたら……
そんな風にしゃべるひとっているかな?って思う。
自分で自分のこと「私のからまわりする気遣いや不器用な優しさうんぬんかんぬん」とか言わんでしょう。
ものすごい違和感なんだけど、

でも、嫌いじゃない。

だからこその小説。
この空気、雰囲気がいい。
文芸だと思う。

意図的、ですよね。
意図的であって欲しい。

意図的じゃなかったら、怖いから。


どうでもよいけど。
文体に慣れたら一気に読めた。
こんな長台詞、言ってみたい。
おれは、頭の回転も遅いから、こうやって文章を書くくらいのスピードでないと、考えを言葉にはできないからね。
遅すぎて、会話となると、難しいね。
ちなみに、タイプスピード、遅いですからね。
頭の回転もそれくらい遅いってこと。
なんだって、こんなに遅いのかしらねー


合同誌は福袋みたいなもので、好きって思える作品だけが載っているわけじゃない。
前々回の文学フリマで買った二人組の合同誌は残念ながら、ひとつは微妙だと思った。

半分が面白くない(って言ったらあれなんだが……)小説だったら、その本の価値も半分になってしまう。
ちょっと、損をしたような気分になってしまうかもしれない。

私は読むものを文体で選んでしまう。
これでも、色々読んできて慣れてきたはずなのだけど、ダメだって思う文体がある。
プロアマ問わずに。
どんなに物語が優れていようとも、綺麗な言葉が並んでいようとも、
その文体に「血」が通っていないと読めない。

文体にはそのひとの個性が出る。
個性が出るもの。
だというのに、意外と無機質な、無個性な文体を書くひとが多い。
個性のない文体だと、面白いって思えない。

あとは、そのひとのダークサイドまでもが見えてしまうような文体は、精神的にきつくなって、読めない。
そういう文体のひとはすごいと思うけれど。内面を隠さずに、文体にまで滲んでいるのだから。


こちらのサークルさんのは、珍しいくらいにお二人ともにそれぞれ違った個性のある文体で、
面白いと思った。


こちらの本は次も買いたい。
また、優しい物語を読みたい。
クセになるような文体で書かれた物語が読みたい。
この本だけでは、まだまだ全然、足りない。
もっと読みたい、そんな風に思った本。

でも、そうだな。
これが短編じゃなくて、個人誌だったら、おなかいっぱいでもういいやって思ってたかもしれない。
合同誌として、成功しているんじゃないかな。

これからもお二人で続けてもらいたいです。
続けてもらわないと、買えなくなってしまいますからね。

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